AGAの治療 植毛による治療
植毛とは?
植毛とは、文字通り頭皮に直接毛髪を植えて、髪の毛の本数を増やす治療法です。
ここ10数年の間に急速に技術が発展し、米国ではAGA患者の約53%、年間でおよそ90万人が植毛治療を受けており、日本でも、その認知度は高まってきています。
自毛植毛と人工毛植毛
植毛には、自毛植毛と人工毛植毛の2種類があり、それぞれ異なった特徴があります。
特徴 | |
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自毛植毛 |
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人工毛植毛 |
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自毛植毛のメリット・デメリット
自毛植毛の特徴
自毛植毛は、自分自身の毛包を利用する外科手術です。
多くの場合、側頭部や後頭部といった、AGAの症状が出にくい部位の毛包を、前頭部や頭頂部に移植します。
移植した毛髪は、毛包の血管や神経が毛穴の深部にある毛乳頭と結合し、数ヶ月後に自毛として生え揃うようになります。
自毛植毛のメリット
定着率が高い
多くの場合、移植後の毛包は以前あった場所と同じ性質を持ち続けます。
自身の生きた健康毛を別の部位で再生させるため、拒絶反応はほとんどなく、定着率は90%以上です。
仕上がりが自然なので、髪型も自由にセットでき、かつらのように「取れるのでは」といった精神的ストレスもありません。
メンテナンスが不要
人工毛植毛やかつらなどと比べ、自毛植毛の場合は治療後のメンテナンスは不要です。
しかし、移植した部分以外の薄毛が進行すると、全体として不自然になってしまう可能性はあります。
これを防ぐためには、全体的な薄毛の進行を遅らせるAGA治療薬の継続的な服用も必要になってくるでしょう。
自毛植毛のデメリット
費用がかかる
植毛治療は移植する株(約1~4本の毛包)1株につき数百円+基本料金が必要です。
目立つくらい進行したAGAを治療する場合、平均しておよそ1500~2000株程度必要となりますので、全体で見ると高額になるケースが多いようです(必要な株数の計算・費用はクリニックによって異なります)。
発毛までに時間がかかる
植毛の手術自体は1度きりで、入院もなく日帰りが可能です。
しかし、髪を刈り上げて移植手術を行うため、移植部分の髪が生え変わって自分の毛髪として馴染むまでは、半年~1年近い時間がかかります。
理想の髪型が手に入るまでには、手術から一定期間が必要なのです。
植える量に限界がある
自毛植毛は自身の毛包を使用するわけですから、移植できる本数に限りがあります。
1回の手術で移植できるのは、およそ2,000本程度なので、場合によっては、思う通りのボリュームが出せないこともあります。
移植に伴うリスクもある
自毛植毛には、移植の際、毛包の採取によって頭皮を損傷してしまう、無理に密度を上げようとしすぎて拒否反応を起こし、毛髪が抜け落ちてしまう、といったリスクがあります。
また、生え際など目につきやすい箇所は、元の部分と移植部分に隙間ができたり、毛質の違いによる不自然さが目立ってしまうことも考えられます。
後頭部に傷跡が残る
「FUT法」と呼ばれるメスを使用した移植手術の場合、ドナー(移植用の毛包)採取のため、後頭部に線状の傷跡が残ります。
メスではなくドナーをくり抜くタイプの手術「FUE法」の場合は、傷跡の面積は小さく済みますが、点状の傷跡が後頭部に多く残ります。
ドナーの数だけ、傷跡は目立ちやすくなってしまうので注意が必要です。
メリット
- 定着率が高い
- メンテナンスが不要
デメリット
- 費用がかかる
- 生え揃うまで時間がかかる
- 増やせる量に限界がある
- 拒否反応などのリスクもある
- 後頭部に傷跡が残る
人工毛植毛のメリット・デメリットについて
人工毛植毛の特徴
人工毛植毛は人工的に作り出した毛髪を、頭皮に移植する方法です。
モダアクリルやポリアミド単繊維などを原料とした、人体に馴染みやすい素材が使用されます。
かつては、植毛というと「人工毛」のイメージがありましたが、自毛植毛の技術が急速に高まったことや、頭皮へのダメージが大きいことから、現在ではほとんど行われていません。
日本では認められているものの、米国では約15年前に禁止となりました。
人口毛植毛のメリット
何本でも毛髪を増やせる
人工の毛髪を使用するため、数に限りなく何本でも毛髪を増やすことができます。
ドナーの数が限られる自毛植毛とは、ここが大きく異なる点です。
どんな髪型でも自由にできる
髪の本数はもちろん、密度や長さ、色などもすべて自由なので、理想の髪型を追求することができます。
比較的安価ですぐに髪を増やせる
人工毛植毛は、手術したその日から髪が増えるため、効果に即効性があります。
また、2000本で50万円程度(クリニックによって異なります)なので、AGA治療のなかでは比較的リーズナブルといえます。
人口毛植毛のデメリット
拒絶反応を起こす可能性がある
頭皮に馴染みやすい素材の人工毛とはいえ、頭皮が異物に対して拒否反応を起こす可能性があります。
人口毛は抜けにくくするため、頭皮の奥深くまで植え込む必要があり、その際のアレルギー反応にも注意が必要です。
炎症や感染などのリスクがある
植毛した部分に違和感を感じやすく、気になって触れたり掻いたりすることで、炎症や感染などを引き起こす場合があります。
人工毛が抜けずに頭皮内で切れてしまうケースもあり、そうなると化膿や感染が皮膚の深部にまで及んでしまう可能性もあります。
急に髪が増えるため周囲に気づかれやすい
治療の直後から毛髪が増えるため、見た目の変化に気付かれやすい点もデメリットかもしれません。
気付かれることをそのまま受け入れるか、周りの環境が大きく変わるタイミングを見計らって治療を行う必要があります。
継続的なメンテナンスが必要
生きた毛髪と違って成長がないため、抜けてしまうと再び生えてくることはありません。
経年劣化への対処や、周囲の自毛とのバランスを保つため、定期的なメンテナンスが不可欠です。
メリット
- 何本でも毛髪を増やせる
- どんな髪型でも自由にできる
- すぐに髪を増やせる
デメリット
- 拒絶反応を起こす可能性がある
- 炎症や感染などのリスクがある
- 急に髪が増えるため怪しまれる
- メンテナンスが不可欠
植毛以外のAGA改善治療
AGA治療には、植毛のような外科治療や、かつらなどの整容的対処法、内服・外用薬など、さまざまな方法があります。
HARG療法は、髪の生育に必要な成長因子を頭皮に直接注入することで、自身がもともと持っていた健全な発毛サイクルを蘇らせる「毛髪再生医療」です。
発毛効果が長く続き、メンテナンスの必要もないので、費用対効果の高いAGA治療のひとつとして、注目されています。