

育毛剤などによって十分な効果が得られない場合や、効果があっても、より毛量を増やしたい時に考えられるのが植毛です。
欧米では40年以上前から広がりはじめ、ここ10数年の間に急速に一般化。中でも米国においてはAGA患者のうち53%が植毛治療を行っており、その数は年間90万にのぼるといわれています。
植毛とは?毛穴に直接植え付け、毛髪の本数を増やす治療法
植毛とは、文字通り、頭皮に毛髪を植える治療法です。あまり知られていませんが、植毛は日本で誕生しました。1930〜1940年代に日本人医師によって自毛植毛に関する研究が発表されたのですが、日本語の論文だったこともあり、世界に広まることはなかったのです。その後、欧米を中心に研究が進み、1970年代に自毛植毛手術は世界に広まり、1993年に米国で国際毛髪化学学会が開催されたのを機に、世界で注目を集めるようになりました。
まだまだ欧米には及びませんが、日本でも、近年その認知度が高まってきています。とはいえ、育毛や増毛と混同している方も少ないないようです。育毛は、育毛剤やマッサージなどによって自毛の維持や発毛を促進するヘアケア、増毛は、人工毛を自毛や頭皮に付けて擬似的に毛髪を増やすものです。対して植毛は、自毛もしくは人工毛を毛穴に直接植え込みます。
植毛には自毛植毛と人工毛植毛がありますが、どちらも医療行為のため育毛・増毛サロンでは受けられません。
自毛植毛自身の毛髪を使って毛根を再生し、発育を目指す
自毛植毛とは、薄毛の気になる場所に自身の毛包を移植し、毛根を再生させる外科手術です。AGAの場合、側頭部や後頭部は男性ホルモンの影響を受けにくく、しっかりした毛髪が残っていることがほとんどなので、それらの毛包を前頭部や頭頂部に移植していきます。
そのプロセスは、まず後頭部などから縦1cm×長さ12cmほどの毛髪を頭皮とともにカット。採取した毛髪を1〜3本程度に株分けします。特殊な針で移植先に穴を開け、そこに毛髪を植えていくというものです。
移植した毛髪は、毛包の血管や神経が毛穴の深部にある毛乳頭と結合し、数ヶ月後には生え揃います。通常の毛周期に近いかたちで自然に育成していくので、定着後は特別なアフターケアの必要はありません。
多くの場合、移植後の毛包は以前あった場所と同じ性質を持ち続け、毛質も維持されて「自分の髪」として伸び続けていきます。その定着率は90%を超えるといわれ、自身の生きた健康毛を別の部位で再生させるため、拒絶反応もほとんどありません。 なにより仕上がりが自然で、かつらのような違和感がなく、“取れるのでは”などといった精神的ストレスもありません。
一方、自毛植毛では自身の毛包を使用するわけですから、移植できる本数に限りがあります。また1回の手術で移植できるのは一般的に約2,000本といわれていますので、場合によっては、思う通りのボリュームが出せないこともあります。近年、1回4,000〜5,000本を植えるメガセッションという方法も考案されましたが、それを行えるクリニックは多くありません。
頭全体の毛包数が変わらないわけですから、満足のいく効果を出すためには、移植する本数と、どこに移植するかが重要です。それだけに、医師の外科的な技術力とともに、仕上がりのバランスを見極めるデザイン力によっても結果に差がでると考えられます。
人工毛植毛頭皮へのダメージが大きく、現在は下火に
人工毛植毛では、モダアクリルやポリアミド単繊維などを原料とした人工毛を使用します。人工毛はいくらでもつくれるためドナーの心配はありませんが、人体に異物が加わるわけですから、炎症や感染などのリスクが非常に高くなっています。
自毛に比べて定着率も低く、また生きた毛髪と違って成長がありませんから、抜けてしまえば再び生えてくることはありません。また経年劣化への対処や周囲の自毛とのバランスを保つため、常にメンテナンスが必要です。
かつては、植毛というと「人工毛」というイメージがありましたが、自毛植毛の技術が急速に高まったこと、頭皮へのダメージが大きいことなどから、ほとんど行われていないのが現状です。日本では禁止されていませんが、米国では10年ほど前から禁止されています。
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